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コラム
ホワイトニングが出来ない人や歯
2022.06.03
折角ホワイトニングしようと歯科医院へ行って断られてしまう可能性があることをご存じでしょうか。
気軽にできるように思われるホワイトニング治療ですが、身体の状態によっては、実は対応できない可能性があるのです。
今回は、ホワイトニングが出来ない人や歯の状態についてのお話です。
目次
●大きな虫歯や歯周病
虫歯は、小さくて痛みなどの症状がないような初期虫歯であれば、簡易的な仮の詰め物をすることでホワイトニングを優先しておこなえます。
しかし、歯の詰め物をおこなった後に全体的な色に合わせてホワイトニングをおこなった方が外見的には自然な仕上がりになります。
大きな虫歯がある時には、ホワイトニング薬剤が虫歯に触れることで強い痛みを感じることがあります。
虫歯や歯周病が原因で歯に痛みがある時には、ホワイトニングに含まれている成分によって刺激を受けてしまって神経を傷つけやすくなります。
最悪の場合、正常だった神経を抜かなければならないこともあるため、症状の大小にかかわらず、なるべく虫歯や歯周病治療を優先しておこなうことをおすすめします。
●金属やセラミックでできた人工歯
ホワイトニングの効果が期待できるのは、自然に生えてきた歯に限ります。
そのため、銀歯などの金属やセラミックでできた人工歯については、ホワイトニングの効果が期待できないため、治療できません。
使用している素材によっては、経年劣化などで変色が起こることがあります。
そのような時には、新しく素材を変えて治療をおこなう必要があります。
歯茎が痩せて衰えてきた時には、土台となる金属部分が外見に現れてくることもあります。
金属部分のホワイトニング治療はできないため、このような時には歯茎のサイズに合わせた人工歯を作る必要があります。
●神経を失っている歯
転倒や打撲などによるダメージが歯に加わった場合、歯はぐらついていないものの中を通る神経が切れてしまうケースがあります。
また、虫歯の進行がひどく神経にまで浸食した場合も、同様に神経が切れてしまうでしょう。
神経が切れると黒もしくは灰色っぽく変色するため、前歯など目立つ位置であれば見た目のコンプレックスにつながる恐れもあります。
しかし、このような歯にホワイトニングしても期待したように白くならないことが多く、色戻りしやすいことも事実です。
取り残された神経組織や血液成分などの治療のあとにホワイトニングする場合はこの限りではありませんが、非常に大きな労力を伴うため抵抗感が強い方もいるでしょう。
そのため、歯のマニキュアやセラミックなど、他の方法を検討することもあります。
●エナメル質・象牙質が正常に形成されていない歯
遺伝などが影響し歯表面のエナメル質や象牙質の形成が不十分な歯も、ホワイトニング向きではありません。
エナメル質が薄いため象牙質の黄色が透けて見え、どんなにホームケアを徹底しても着色汚れがあるような見た目になってしまうこともあります。
ホワイトニングしたいと相談される方もいますが、元の歯が濃く変色している場合、期待したような色味にならないことが多いのです。
反対にホワイトニング剤が浸透しすぎるなどのトラブルが起こる可能性もあり、歯の神経への影響が不安視されています。
大きな虫歯・歯周病があるときと同じような痛みが生じるなど、デメリットが多いため要注意です。
●乳幼児・小学生などの子ども
ホワイトニングは明確な対象年齢を設けていない治療法です。
しかし、永久歯が生える前の乳幼児や生え変わり途中の小学生にホワイトニングする歯科医院はあまりないでしょう。
過酸化水素・過酸化尿素などホワイトニングに含まれる薬剤がどの程度子どもの歯や顎に影響するかはっきりした研究がされていないことから、念のため高校卒業程度の年齢まで様子を見るケースが多いのです。
お子様の歯の白さが気になる場合は、クリーニングやフッ素の塗布など歯本来の白さを磨く治療がよいでしょう。
自宅でおこなうホームホワイトニングなども避け、自らケアできるようになるまで待つのがおすすめです。
●変色の原因が金属材料にある歯
歯が変色している原因によっては、ホワイトニングの効果がほとんど見られないことがあります。
特に人工歯に使っている金属が溶け出して変色の原因となっている場合、ホワイトニングによるアプローチは適切ではありません。
ホワイトニング剤は歯に含まれている色素を分解することで歯を白くする治療法ですが、金属着色は色素が原因ではないため、効果が出ないのです。
ホワイトニングできずとも、まずは金属の溶け出しについて歯科医院へ相談することをおすすめします。
場合によっては人工歯を作り直し、見た目の美しさも向上させやすくなるでしょう。
●変色の原因が抗生物質にある歯
前項と同様、抗生物質による変色も色素以外が影響して現れる症状であり、ホワイトニングでは解決できないでしょう。
主にテトラサイクリン系の抗生物質による変色が有名であり、歯の形成期である0歳から12歳頃の摂取量が多いと歯が黄色もしくは茶色っぽくなるのです。
同様に妊娠中・授乳中の母親がテトラサイクリン系抗生物質を服用し、将来的に子どもへの影響となって現れるケースもあります。
太陽光が当たるとさらに濃くなりやすく、気になる方はホワイトニング以外の選択肢を検討してみるとよいでしょう。
●妊娠中の方
ホワイトニング薬剤に含まれている代表的な成分である過酸化水素は、健康な一般人であれば安全性が保証されているのですが、妊娠中の方への影響が確認されていないため、必ずしも安全とは言い切れません。
そのため、妊娠中の方はホワイトニング治療を避ける方が良いでしょう。
一般的な歯科検診で行われているような歯のクリーニングであれば、妊娠中の方でも行えます。妊娠中はホルモンバランスが乱れやすくなるため口腔内環境が悪化しやすい状況です。
特に歯周病がある方は、歯周病菌が血液で運ばれることで胎児に対する悪影響となり、早産のリスクも高くなるため、なるべく早めに治療を開始した方が良いでしょう。
可能であれば、妊娠前から定期的な検診を行うことをおすすめします。
●無力タラーゼ血症の方
先天的な疾患である無カタラーゼ血症の方は、過酸化水素を分解するためのカタラーゼという酵素が不足しています。
ホワイトニング治療では、過酸化水素を使用してエナメル質を白くしています。
もし口の中に入ったホワイトニング薬剤を飲んでしまっても、一般の方であれば、体内でカタラーゼが正常に働いて過酸化水素を分解するため体に害は生じません。
しかし、無カタラーゼ血症の方は、体内にカタラーゼ不足しているために過酸化水素を分解できません。
そのため、ホワイトニング治療を行うリスクの高い無カタラーゼ血症の方は治療をお断りすることがあります。
●まとめ
気軽に歯を白くできると思われがちなホワイトニング治療でも、お体の状態によっては安全な治療が行えないことがあります。
口の中だけの治療ではありますが、その影響は全身に及ぶ可能性があるため、歯の状態以外にも、現在治療中の疾患がある方や気になる症状があるという時には、ホワイトニング治療を開始する前に、必ず歯科医師まで報告するようにしましょう。
監修者
小笹 康寛 | 院長
患者さまの歯を長持ちさせることを第一に考え、一人ひとりに合わせた最適な治療方法をご提案し、ご納得いただいた上で治療を進めております。お口に関する疑問・お悩み等ございましたら、どんなことでもご相談ください。